PtoP 産地情報
【チョコレートにこの道具あり】パラン(大ナタ)
インドネシア・パプア州の山間部で必ず目にする光景は、大ナタ一本を手に森で採取した収穫物を担ぎながら家路に向かう人びとの姿です。日本の皆さんがスーパーマーケットに買い物に行くように、パプアの先住民族は森で食材を調達します。
大ナタのことをパプアでは「パラン」と呼びます。食べ物を採取したり、猟で仕留めた獲物をさばいたり、家財道具を作ったり、と生活に必要な作業の大半はパランを使って行います。カカオの栽培・収穫に使う道具もパラン一本のみ。下草刈りや木の剪定をしながらカカオを育て、赤や黄色の大きな実(カカオポッド)を収穫し、その実を手のひらにのせパランで切れ目を入れて中の種(カカオ豆)を取り出します。パランがポッドに深く入り過ぎると種を切ってしまうので、パランを振り落とす力を微妙に調整しなければなりません。でもそこは皆とても上手く、小さな子どもでもパランを巧みに使いこなします。
種々雑多な道具に囲まれている消費大国の私たちにとってパプアの人びとがパラン一本で日々暮らしを営むことができる能力は感嘆に値します。
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